ゼロカロリーのコーラ、甘いのに糖質ゼロの缶コーヒー、チョコ味のプロテイン。原材料表示を見ると、スクラロースやアセスルファムK、アスパルテームといった名前が並んでいることは珍しくありません。
一方で、人工甘味料は太る、血糖が上がる、という話もよく目にします。カロリーがほとんどないのに太るなら、減量中にゼロカロリー飲料を選ぶ意味はあるのでしょうか。
ここでいう人工甘味料は、研究で「低カロリー甘味料」や「非糖質甘味料」と呼ばれているものです。ステビアのような植物由来の甘味料も含みます。エリスリトールなどの糖アルコールは、WHOの定義では含まれません。
なぜ「太る」と言われるのか
理由は主に3つです。
ひとつは、甘さを感じると食欲が増えて、ほかの食事で多く食べてしまうという説です。もうひとつは、甘さに反応してインスリンが出て、脂肪がたまりやすくなるという説です。
3つ目は、長い期間の観察研究です。人工甘味料をよく使う人ほど、体重が多かったり、2型糖尿病になる人が多かったりする傾向が報告されてきました。
ただ、観察研究は「よく飲む人」と「飲まない人」を比べるだけです。もともと体重が気になっている人が、砂糖の代わりに選んで飲んでいるのかもしれません。この場合、甘味料が体重を増やしたのではなく、体重が多い人が甘味料を選んでいたことになります。
これを区別するには、人を無作為に分けて、実際に飲んでもらう試験が必要です。では、そうした試験では体重はどうなったのでしょうか。
砂糖の代わりに使うと、体重はどうなった?
2021年に、イギリスの研究者が1週間以上続けた試験88本をまとめた分析を発表しています。この分析は、試験を「何と比べたか」で分けて集計したところに特徴があります。
砂糖と比べた試験(29本、2,267人)では、体重の変化に平均1.06kgの差がつき、人工甘味料のグループのほうが軽くなっていました。砂糖を置き換えた量が多い試験ほど、この差は大きく出ていました。
2022年には、別のチームが飲み物に絞って調べています。対象は17の試験、1,733人で、過体重や肥満があり、糖尿病のリスクがあるか糖尿病のある成人でした。砂糖入り飲料を人工甘味料入りの飲料に置き換えると、体重は1.06kg、体脂肪率は0.60ポイント低くなっていました。

砂糖の代わりに使えば、その分のカロリーが減ります。2021年の分析の著者らも、一貫した差が出たのはカロリーが違う比較だったときだとしています。では、カロリーの差がない水と比べた場合はどうでしょうか。
水と比べると、何か違った?
2021年の分析では、水か何も飲まない条件と比べた試験(11本、1,068人)も集計しています。体重の変化の差は0.10kgで、統計的な差(偶然だけでは説明しにくい差)はありませんでした。
2022年の飲み物の分析でも、水と比べて体重に差は見られませんでした。ただし、ヘモグロビンA1c(1〜2か月の血糖の平均を表す値)は人工甘味料のほうが0.21ポイント高く、上の血圧は2.63mmHg低いという結果も出ています。
もし甘さそのものが食欲を増やすなら、水と比べたときに体重が増える方向の差が出てもおかしくありません。実際には、甘さだけが違う比較では体重などに一貫した差は出なかったと、2021年の分析の著者らは述べています。
1年かけた試験も2本あります。どちらも減量プログラムに参加した過体重や肥満の人を、水を飲むグループと人工甘味料入りの飲料を飲むグループに分けました。
- 2016年のアメリカの試験(303人)では、1年後の減量は水のグループが2.45kg、甘味料飲料のグループが6.21kgでした。参加者はもともと甘味料飲料をよく飲んでいた人で、水のグループはそれをやめて水に切り替えています
- 2024年のイギリスの試験(493人)では、1年後の減量は水のグループが6.1kg、甘味料飲料のグループが7.5kgでした。著者らは、この1.4kgの差は健康上の意味がある大きさではないとしています

どちらの試験も、研究費はアメリカの飲料業界団体が出しています。2016年の試験の論文には、団体は設計や解析に関わっていないと書かれています。それでも、結果を読むときには知っておきたい点です。
では、もうひとつの心配である血糖はどうでしょうか。
血糖とインスリンは上がる?
2018年の分析は、アスパルテームやサッカリン、ステビア、スクラロースを摂ったあとの血糖を測った29の試験(741人)をまとめました。摂る前と比べて血糖は上がらず、時間とともに少しずつ下がっていました。甘味料の種類による違いもありませんでした。
2022年の試験は、毎日摂り続けたときの変化を調べています。健康な成人120人に、サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、ステビアのいずれかを1日の許容量より少ない量で2週間摂ってもらい、何も摂らない人やブドウ糖を少量摂る人と比べました。
その結果、サッカリンとスクラロースのグループでは、ブドウ糖を飲んだあとの血糖の上がり方が大きくなっていました。さらに、反応が大きかった人と小さかった人の腸内細菌をそれぞれ無菌のマウスに移すと、マウスの血糖の反応も、もとの人と似た傾向になりました。人によって反応が違い、その違いに腸内細菌が関わっている可能性を示した研究です。
摂った直後に血糖が上がるわけではない。それでも、毎日摂り続けたときに血糖の処理のされ方が変わる人はいるかもしれない。この2つは、調べている時間の長さが違います。
試験の結果がおおむね体重を増やさない方向なのに、WHOは2023年に、人工甘味料を体重管理に使わないよう勧めました。その理由はどこにあるのでしょうか。
WHOが「体重管理には使わない」と勧めた理由
WHOの指針は、人工甘味料を使っても長い目で見て体脂肪は減らないこと、長く使うと2型糖尿病や心血管病、死亡のリスクが高まる可能性があることを理由に挙げています。後者の根拠は主に観察研究です。
WHOは、観察研究で見られた関係は、もともとの体重や健康状態などに影響されている可能性があるとして、推奨の強さを「条件付き」としています。糖尿病の人はこの推奨の対象外です。これは糖尿病の人なら使ってよいという意味ではなく、この指針では糖尿病の人について判断していない、という意味です。歯みがき粉や薬に含まれるもの、糖アルコールも対象に含まれていません。
WHOの支援を受けて行われた2019年の分析も、ほとんどの健康上の項目で甘味料を使う人と使わない人に差はなかったとしています。一方で、試験の多くは人数が少なく期間も短いため、結果の確かさは限られるとも書いています。

読み違えやすい点
まず、比較の相手で答えが変わることです。砂糖と比べた試験では体重が減り、水と比べた分析では差がありませんでした。太らないことと、やせる助けになることは別の話です。
次に、試験と観察研究のずれです。WHOが重く見たのは何年も追った観察研究のほうで、その関係が甘味料のせいかどうかは、観察研究だけでは決められません。
最後に、「血糖が上がらない」と「血糖に影響しない」も同じではありません。摂った直後の血糖は上がらなくても、2週間続けると血糖の上がり方が変わった人がいました。
まだわかっていないこと
- 何年も摂り続けたときに、病気のリスクが本当に上がるかどうか。長期の試験はなく、観察研究では原因と結果を区別できない
- 甘味料の種類ごとの違い。2021年の分析では、種類別にきちんと比べられるだけの試験がなかった
- 2022年の腸内細菌の試験で見られた変化が、体重や病気のなりやすさにつながるかどうか。期間は2週間で、著者らも臨床的な意味はこれから調べる必要があるとしている
- 糖尿病の人にとっての影響。WHOの推奨は糖尿病の人を対象にしておらず、糖尿病の人の扱いはここで紹介した研究からは判断できない
- 筋トレをしている人での影響。ここで紹介した試験は、筋肉や筋力を測っていない
- がんなど、体重と血糖以外の健康への影響。この記事では扱っていない
まとめと今日から試せること
砂糖入りの飲み物を人工甘味料入りに置き換えると、試験では体重が少し減っていました。水と比べた分析では体重に差はなく、1年の試験2本では甘味料飲料のほうが少し多く減っていました。甘味料で太るという結果は、1週間から1年の試験では見られていません。
一方で、何年も摂り続けたときの影響はわかっておらず、WHOは体重管理の手段としては使わないよう勧めています。いまの研究から言えるのは、砂糖の代わりに使った試験では体重が少し減る結果が出ていたこと、水と比べたときの差は研究によって分かれていること、までです。
- 砂糖入りの飲み物を毎日飲んでいるなら、まず1日1本を水か無糖のお茶に替える
- 甘味料入りの飲み物を選ぶなら、砂糖入りの飲み物から替えるときにとどめ、水やお茶の代わりにはしない
- 1週間、甘い飲み物を何本飲んだかを書き出し、砂糖入りと甘味料入りに分けて数える
- よく飲む飲み物やプロテインの原材料表示で、入っている甘味料の名前を確かめる
参考文献
- Rogers PJ, Appleton KM. The effects of low-calorie sweeteners on energy intake and body weight: a systematic review and meta-analyses of sustained intervention studies. Int J Obes (Lond). 2021;45(3):464-478. PMID: 33168917 / DOI: 10.1038/s41366-020-00704-2(2021年に訂正あり。表1のエネルギー摂取量などの記載の誤りで、著者らは結果の傾向と結論は変わらないとしている。PMID: 34045657)
- McGlynn ND, Khan TA, Wang L, et al. Association of low- and no-calorie sweetened beverages as a replacement for sugar-sweetened beverages with body weight and cardiometabolic risk: a systematic review and meta-analysis. JAMA Netw Open. 2022;5(3):e222092. PMID: 35285920 / DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2022.2092
- Peters JC, Beck J, Cardel M, et al. The effects of water and non-nutritive sweetened beverages on weight loss and weight maintenance: a randomized clinical trial. Obesity (Silver Spring). 2016;24(2):297-304. PMID: 26708700 / DOI: 10.1002/oby.21327
- Harrold JA, Hill S, Radu C, et al. Non-nutritive sweetened beverages versus water after a 52-week weight management programme: a randomised controlled trial. Int J Obes (Lond). 2024;48(1):83-93. PMID: 37794246 / DOI: 10.1038/s41366-023-01393-3
- Nichol AD, Holle MJ, An R. Glycemic impact of non-nutritive sweeteners: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Eur J Clin Nutr. 2018;72(6):796-804. PMID: 29760482 / DOI: 10.1038/s41430-018-0170-6
- Suez J, Cohen Y, Valdés-Mas R, et al. Personalized microbiome-driven effects of non-nutritive sweeteners on human glucose tolerance. Cell. 2022;185(18):3307-3328.e19. PMID: 35987213 / DOI: 10.1016/j.cell.2022.07.016
- Toews I, Lohner S, Küllenberg de Gaudry D, Sommer H, Meerpohl JJ. Association between intake of non-sugar sweeteners and health outcomes: systematic review and meta-analyses of randomised and non-randomised controlled trials and observational studies. BMJ. 2019;364:k4718. PMID: 30602577 / DOI: 10.1136/bmj.k4718
- World Health Organization. Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline. 2023. WHOの発表(2023年5月15日)
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の助言ではありません。診断や治療の代わりにはなりません。糖尿病などで食事の指導を受けている人は、主治医や管理栄養士の指示を優先してください。



