筋トレをしている人のあいだで、寝る前にプロテインを飲む習慣はよく話題になります。寝ているあいだも筋肉はつくられているので、そこに材料を足しておく、という考え方です。
一方で、1日の量が足りていれば時間は関係ない、という声もあります。寝る前の1杯に、わざわざ時間を割く意味はあるのでしょうか。
寝ているあいだの筋肉
筋肉は、つくられることと分解されることを毎日くり返しています。食事でたんぱく質をとると、つくられる側が増えます。
眠っているあいだは、朝まで何も食べません。そのぶん材料が届かない時間が続く、というのが寝る前のプロテインをすすめる人の考え方です。
では、寝る前に飲んだプロテインは、眠っているあいだに本当に筋肉の材料として使われるのでしょうか。
寝る前に飲んだ分は、眠っているあいだに使われるのか?
2012年に、オランダのマーストリヒト大学の研究チームが、この点を確かめています。
対象は、若い男性16人。夜8時に筋トレをして、9時にたんぱく質20gと糖質60gをとりました。そのあと23時30分に、カゼインというゆっくり吸収されるたんぱく質40gを含む飲み物か、含まない飲み物を飲んでいます。

カゼインは眠っているあいだに消化・吸収され、血液中のアミノ酸は朝まで高いまま保たれました。筋肉がつくられる速さは、カゼインを飲んだ夜のほうが22%ほど高くなっています。ただし、この差は統計的にぎりぎりのところでした。
一晩のあいだに筋肉がつくられやすくなっても、それが続けたときの筋肉の量につながるかは別の話です。毎晩飲み続けると、どうなったのでしょうか。
12週間、毎晩続けた若い男性
同じ研究チームは2015年に、若い男性44人を2つのグループに分けて、12週間の筋トレをしてもらいました。片方は毎晩寝る前に、たんぱく質27.5gと糖質15gを含む飲み物を飲みます。もう片方は、カロリーのない飲み物です。
12週間で、いくつかの種目で測った最大の重さの合計は、プロテインのグループで164kg、もう片方で130kg伸びました。太ももの前の筋肉の断面積も、8.4cm²と4.8cm²で、プロテインのグループのほうが大きく増えています。

若い人では、続けた結果にも差が出ていました。では、年齢が上がると同じ結果になるのでしょうか。
高齢の人では、どうだったのか?
2017年の研究では、平均72歳の男性48人が、寝る前にカゼイン40g、カゼイン20g、カゼイン20gにアミノ酸の一種ロイシンを足したもの、たんぱく質を含まない飲み物のどれかを飲みました。
眠っているあいだに筋肉がつくられる速さは、40gを飲んだ人で、たんぱく質を含まない飲み物より高くなっていました。20gでは、はっきりした差は出ていません。
ただ、これは一晩の反応です。2025年には、アメリカのフロリダ州立大学の研究チームが、筋トレの経験がない平均65.7歳の男性30人で、12週間続けた結果を比べています。週2回の筋トレに加えて、40gのたんぱく質を運動の直後にとるグループ、寝る前にとるグループ、筋トレだけのグループに分けました。
太ももの筋肉の厚さも、レッグプレスとチェストプレスの重さも、3つのグループすべてで伸びました。グループのあいだに差はありませんでした。参加者は、もともと1日に体重1kgあたり1.0g以上のたんぱく質をとっていた人たちです。
若い人では差が出て、高齢の人では出なかった。この違いは、年齢だけで説明できるのでしょうか。
効いていたのは、時間か、量か?
2015年の研究をもう一度見ると、比べていたのは、寝る前にたんぱく質を27.5g足したグループと、何も足さなかったグループです。時間だけではありません。量も違っていました。プロテインのグループは、1日にとったたんぱく質の量そのものが多くなっていたのです。
2021年に、寝る前のたんぱく質を調べた9本の研究をまとめた報告が出ています。寝る30分前ごろにカゼインを20〜40gとると、若い男性でも高齢の男性でも、一晩のあいだにたんぱく質がつくられやすくなっていました。続けたときの筋肉や筋力への効果は、若い男性では見られた一方、高齢の男性でははっきりしていません。
そのうえでこの報告は、グループのあいだで1日のたんぱく質の量がそろっていない研究があるので、結果は慎重に受けとめる必要があるとしています。差を生んだのが寝る前という時間なのか、増えた量なのかは、まだ分けきれていません。
まだわかっていないこと
- 1日のたんぱく質の量をそろえたうえで、寝る前にとる場合と別の時間にとる場合を、長く比べた研究は少ない
- 紹介した研究の対象は、ほとんどが男性。女性に同じことが言えるかは、これらの研究からはわからない
- 長くトレーニングを続けている人で、同じ差が出るかもわからない
- 2012年と2017年の研究は一晩の反応を測ったもので、筋肉の量そのものを測ってはいない
腎臓の病気がある人、医師からたんぱく質の量を指示されている人は、寝る前にたんぱく質を足す前に医師に相談してください。
まとめと今日から試せること
寝る前にとったたんぱく質は、眠っているあいだに筋肉の材料として使われていました。12週間続けた若い男性では、筋肉と筋力の伸びが大きくなっています。ただし、その研究では1日のたんぱく質の量そのものが増えていました。もともと十分にとっていた高齢の男性では、寝る前にとっても差は出ていません。
- まず、ふだんの食事とプロテインで、1日に何gとれているかを書き出す
- 夕食までで、1日にとりたい量に届かない日は、寝る30分前ごろに20〜40gを足す
- 寝る前に足す分は、紹介した研究の多くで使われていた、ゆっくり吸収されるカゼインを選ぶ
参考文献
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※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の助言ではありません。持病のある人や治療中の人は、医師に相談してください。



