鶏むね肉を1枚食べたあとに、プロテインも1杯。夕食でまとめてたんぱく質をとる日もあります。そんなとき、1回に20〜30gを超えた分は無駄になる、という話が気になる人は多いでしょう。
反対に、朝と昼はほとんどとれず、夜にまとめて60gとる生活の人もいます。量が足りていても、分け方が悪いと筋肉は増えにくいのでしょうか。
1回にとるたんぱく質の量について、研究で確かめられている範囲を見ていきます。
「吸収できない」と「筋肉に使われない」は同じ話か
まず言葉をそろえます。食べたたんぱく質は、腸でアミノ酸に分解されて血液に入ります。これが吸収です。量が多いと、吸収し終えるまでの時間が長くなります。
研究で問題にしているのは、その先です。筋トレのあと、筋肉では新しいたんぱく質がつくられます。この速さを、筋肉の合成の速さと呼びます。たんぱく質をとると、この速さが上がります。
通説の20gは、この合成の速さがどこで頭打ちになるかを測った研究から来ています。では、その研究ではどんな結果が出ていたのでしょうか。
20gで頭打ちになったのは、どんな試験か
2009年に報告されたカナダの試験では、健康な若い男性6人が、脚の筋トレをしたあとに卵のたんぱく質を飲みました。量は0g・5g・10g・20g・40gの5通り。同じ人が日を変えて、すべての量を試しています。
合成の速さは量が増えるほど上がり、20gで最も高くなりました。40gにしても、それ以上は上がっていません。20gと40gでは、アミノ酸がエネルギーとして燃やされる量が増えていました。
2014年に報告されたイギリスの試験は、人数を増やしています。筋トレの経験がある若い男性48人が、片脚のレッグプレスとレッグエクステンションを行い、直後にホエイプロテインを0g・10g・20g・40gのどれかで飲みました。
合成の速さは、0gの人と比べて、20gで49%、40gで56%高くなりました。10gでは上がっていません。著者らは、体重80kg前後の筋トレ経験者なら、合成の速さを最大まで高めるには20gで足りるとまとめています。
ただ、この2つの試験には共通点があります。鍛えたのは脚だけで、測ったのは飲んでから4時間です。全身を鍛えた日でも、20gで足りるのでしょうか。
全身を鍛えた日は、20gで足りたのか
2016年に報告されたイギリスの試験では、筋トレの経験がある男性30人が、全身の筋トレをしたあとにホエイプロテインを飲みました。20gの日と40gの日を、順番を入れ替えて比べています。
合成の速さは、40gの日のほうが20gの日より約2割高くなりました。
参加者は、脂肪を除いた体重が65kg以下の15人と、70kg以上の15人です。どちらのグループでも、結果はほぼ同じでした。

では、4時間より長く測ると、多い量はどう使われていたのでしょうか。
100gを飲んだら、12時間後はどうなっていたか
2023年に報告されたオランダの試験では、健康な若い男性36人が、1時間の全身の筋トレをしました。種目はレッグプレス、レッグエクステンション、ラットプルダウン、チェストプレスです。そのあと牛乳のたんぱく質を0g・25g・100gのどれかで飲み、12時間にわたって測っています。
100gの人は、25gの人より合成の速さが高く、その状態が12時間を超えて続きました。差は最初の4時間にも見られましたが、4〜12時間でさらに大きくなっています。エネルギーとして燃やされた分は、100gでもごくわずかでした。
12時間たっても、100gの人では元に戻っていない反応がありました。著者らは、多い量のたんぱく質は時間をかけて体に使われていく、と書いています。
それなら、1日の量を1回にまとめても、分けても同じなのでしょうか。
同じ80gを、何回に分けたか
2013年に報告されたオーストラリアの試験は、1日の量をそろえて分け方だけを変えています。筋トレの経験がある男性24人が、筋トレのあとの12時間で、ホエイプロテイン80gを飲みました。8人ずつ、10gを1.5時間ごとに8回、20gを3時間ごとに4回、40gを6時間ごとに2回の3通りです。
どの分け方でも、合成の速さは運動前より高くなりました。いちばん高かったのは20gを4回に分けた人で、ほかの2つより31〜48%上回っています。

ここまでは、どれも数時間から半日の反応です。こうした試験を合わせて考えると、1回の目安はどうなるのでしょうか。
1回の目安は、体重でどう変わるか
2018年に、アメリカの研究者2人が、1回の量を調べた試験と、数週間以上続けた試験をまとめて検討しています。
2人が注目したのは、20〜25gという数字の出どころです。この数字は、吸収の早いたんぱく質を、ほかの食べ物と一緒にとらずに飲んだ試験から出ていました。ふだんの食事では、吸収のゆっくりなたんぱく質を炭水化物や脂質と一緒にとるので、使われ方が変わると考えられます。20gを超えると燃やされる分は増えますが、増えた分の一部は体をつくるのに使われていた、というのが2人の見方です。
そのうえで2人が示した目安は、4回以上の食事で、1回ごとに体重1kgあたり0.4gずつとる方法です。こうすると、1日で1.6g/kg以上に届きます。1日2.2g/kgまでとる場合は、1回あたり0.55g/kgまでです。
体重60kgなら、1回24gを4回で1日96g。2.2g/kgの場合は、1回33gになります。

取り違えやすい点
20gで頭打ちという数字は、まちがいではありません。条件つきの数字です。動かした筋肉が少なく、たんぱく質だけを飲み物でとり、短い時間で測った場合に出た値でした。
もうひとつ、100gの試験や分け方の試験は、筋トレ1回のあとの反応を測ったものです。毎回100gとると筋肉が多く増える、20gを4回に分けると数か月後の筋肉が多い、とまで確かめたわけではありません。
まだわかっていないこと
- 女性や、年齢の高い人で同じことが言えるか。紹介した5つの試験の参加者はすべて男性で、多くが若い人だった
- 1回の量や分け方の違いが、数か月後の筋肉の量にどれだけ差を生むか。肉や魚、卵などを食事として食べた場合も含めて、まだ比べられていない
腎臓の病気などで、食事のたんぱく質の量を指示されている人は、その量を優先してください。
まとめと今日から試せること
1回20gを超えた分がすべて無駄になる、とは言えなくなっています。全身を鍛えた日は40gのほうが高く、100gでも12時間かけて使われていました。
まず1日の合計を確保する。そのうえで、1回に体重1kgあたり0.4g前後を、何回かに分けてとる。研究に沿ったとり方は、この順番です。
- 1日の合計を、体重1kgあたり1.6gを目安に計算する(60kgなら約96g)
- その量を1日4回以上に分け、1回を体重1kgあたり0.4g前後にする(60kgなら約24g)
- 1日3回しか食事の時間がとれない日は、1回を体重1kgあたり0.55g前後にして、1日の合計に届かせる(60kgなら33g。0.55gは2018年の検討が1回の上限の目安とした量)
- 全身を鍛えた日は、筋トレ後のプロテインを40gにしてみる
- 1回のたんぱく質が10g前後になる食事は、卵や納豆、牛乳を足して20g以上にする
参考文献
- Moore DR, Robinson MJ, Fry JL, et al. Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men. Am J Clin Nutr. 2009;89(1):161-168. PMID: 19056590 / DOI: 10.3945/ajcn.2008.26401
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- Schoenfeld BJ, Aragon AA. How much protein can the body use in a single meal for muscle-building? Implications for daily protein distribution. J Int Soc Sports Nutr. 2018;15:10. PMID: 29497353 / DOI: 10.1186/s12970-018-0215-1



