筋トレは体にいい、とはよく聞きます。では、寿命とはどう関係するのでしょうか。
週に何回、何分くらいやればいいのか。たくさんやるほど、もっと長生きにつながるのか。仕事や家のことで時間が限られる人ほど、気になるところです。
有酸素運動とは別に、筋トレがすすめられる理由
運動の指針では、ウォーキングなどとは別に、週2回以上の筋トレがすすめられています。
筋肉は、食事でとった糖を取り込んで使う場所でもあります。筋力を保つことは、年をとってからの体の動かしやすさにもつながります。そのため、筋トレには走る・歩くとは違う役割があると見られてきました。
ただ、寿命との関係を調べた研究は、長いあいだ有酸素運動が中心でした。筋トレをする人としない人の差は、どのくらいあったのでしょうか。
8万人を追ったイギリスの調査
2018年に、イギリスの健康調査のデータをまとめた研究が出ています。対象は30歳以上の8万306人。追跡中に5,763人が亡くなっていました。
ここでの筋トレには、ジムでのウェイトに加えて、腕立て伏せや腹筋のような自分の体重を使う運動も入っています。
最初の2年間に起きた死亡などは除いて計算しています。筋トレをしていた人では、あらゆる原因による死亡が23%少なめでした。がんに限ると31%です。
目安で分けた数字もあります。週2回以上の筋トレだけを満たす人で21%、有酸素運動の目安だけなら16%でした。
この調査では、筋トレの量まではわかりません。週に何分くらいで差が出ていたのでしょうか。
週30〜60分のあたりで、いちばん低かった
2022年に、東北大学などの日本の研究チームが、16の追跡研究をまとめています。対象は、重い病気のない18歳以上の大人です。
筋トレの習慣がある人では、あらゆる原因による死亡に加え、心臓や血管の病気、がん、糖尿病のリスクも10〜17%低くなっていました。
時間で分けると、いちばん低かったのは週30〜60分ほど。下がり幅は10〜20%ほどでした。そこから時間が増えると、差はかえって縮んでいます。
同じ年に、オーストラリアのチームも10の研究をまとめました。こちらは全体で15%の差。時間との関係を調べられた4つの研究では、週60分ほどで最も低く、下がり幅は27%です。それを超えると、やはり差は縮んでいました。

いちばん低かった時間は、2つの分析とも週30〜60分の範囲に入っていました。では、すでに有酸素運動をしている人が筋トレを足すと、どうなるのでしょうか。
有酸素運動をしている人が、筋トレを足すと
2022年のアメリカの研究は、平均71歳の9万9,713人を、中央値で9年間追っています。
有酸素運動の量をそろえて比べても、ウェイトを使う筋トレをしていた人では、あらゆる原因による死亡が9%少なくなっていました。
何もしていない人を基準にすると、有酸素運動の目安だけを満たす人では32%低い数字です。そこに週1〜2回のウェイトの筋トレが加わると、41%低くなっていました。

多くやると逆効果、とまでは言えない
週60分を超えると差が縮む。ただ、これでたくさんやると体に悪いと決まったわけではありません。日本の分析の著者らも、多い量の影響ははっきりしないとしています。
もうひとつ。2018年の調査では、腕立て伏せのような自分の体重を使う運動も筋トレに含めていました。器具を使わない運動も、調べた対象に入っています。
まだわかっていないこと
- 筋トレをしたから長生きした、とは言い切れない。どれも筋トレをする人としない人を比べた調査で、ほかの生活習慣の差を分けきれない
- 筋トレの時間や回数は、多くの研究で本人の申告にもとづく
- 差が縮み始める時間は、分析によって幅がある。週30分や60分ちょうどに意味がある、ということではない
- 対象は重い病気のない大人。持病がある人や治療中の人に、同じことが言えるかはわからない
持病がある人や治療中の人は、筋トレを始める前や量を増やす前に、医師に相談してください。
まとめと今日から試せること
週30〜60分は、1日に直すと4〜9分ほど。まとまった時間がとれない人でも、届かない量ではありません。調査どうしを比べた結果なので、因果までは言えません。それでも、週1時間に満たない量で差が出ていたことは、予定を考えるときの手がかりになります。
- 筋トレの時間を週30〜60分を目安に予定へ入れる。たとえば週2回、1回20〜30分
- ジムに行けない週は、腕立て伏せやスクワットなど自分の体重を使う運動で回数を数える
- 筋トレとは別に、早歩きなどの有酸素運動の日も週の予定に入れる
参考文献
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