「週1回しかジムに行けないけど、意味あるのかな」
「毎日やらないと伸びない気がする」
週に何回ジムに行けるかは、人によってかなり違います。週1回がやっとの人もいれば、毎日でも行きたい人もいるでしょう。
気になるのは、回数を増やすほど筋肉や筋力は伸びるのかどうかです。逆に、忙しくて回数が減ったときに、それまでの筋肉はどうなるのかも知りたいところです。
この記事では、週に鍛える回数を比べた研究と、それらをまとめた分析を順に読み、回数で何が変わり、何が変わらないのかを確かめます。ここでいう「回数」は、主に同じ筋肉を週に何回鍛えるかという意味です。
ここで紹介する研究の多くは、持病のない成人を調べたものです。持病のある人や治療中の人、体に痛みがある人は、記事の最後にある注意もあわせて読んでください。
「週2回以上」と言われるのはなぜ?
よく聞く目安のひとつが、世界保健機関(WHO)のガイドラインです。2020年版では、成人は主な筋肉をすべて使う中くらい以上の強さの筋トレを週2日以上行うよう勧めています。これは筋肉を大きくするためではなく、健康のための目安です。
筋肥大についても、2016年に「週2回」を支持する分析が出ています。同じ筋肉を週1〜3回鍛えた研究のうち、1週間の合計の量をそろえて比べた10本をまとめたものです。回数が多いグループのほうが、筋肉の増え方を表す数値が大きく出ていました(0.49と0.30)。著者らは、主な筋肉は少なくとも週2回鍛えたほうがよいと考えられるとし、週3回が週2回より上かどうかはまだわからないとしています。
ただ、このとき集まった研究は10本だけでした。その後、研究の数が増えてから同じ問いを調べ直すと、結果は変わったのでしょうか。
研究が25本に増えると、どうだった?
2019年に、同じ著者を含む研究チームが改めて分析を行いました。対象は25本の研究です。
1週間の合計の量をそろえて比べると、回数が多いほうと少ないほうで、筋肉の増え方に統計的な差(偶然だけでは説明しにくい差)は見られませんでした。筋肉の大きさを画像などで直接測った研究だけに絞っても、筋トレの経験がある人だけに絞っても、上半身と下半身に分けても、結果は同じです。
一方で、合計の量をそろえていない研究では、回数が多いほうが有利という結果が出ました。ただし、週1回と週3回以上の差は大きくありませんでした。著者らは、合計の量が同じなら、週に何回に分けるかは好みで選んでよいとまとめています。
ここまでは筋肉の大きさの話です。重いものを挙げる力、つまり筋力のほうはどうなのでしょうか。
筋力の伸びは、回数で変わった?
2018年に、筋力の伸びを週の回数で比べた22の研究をまとめた分析が出ています。
回数が週1回から4回以上へと増えるほど、筋力の伸びを表す数値は大きくなっていました(週1回0.74、週2回0.82、週3回0.93、週4回以上1.08)。ところが、1週間の合計の量をそろえた研究だけで見ると、回数による差は見られませんでした。著者らは、回数が多いほど筋力が伸びたのは、主に合計の量が増えたためだろうと考えています。
同じ2018年に、別の研究グループも12の研究をまとめています。こちらでも、合計の量をそろえると、週1回と週3回以上で筋力の伸びは同じくらいでした。

週の回数と筋力の伸び(Logrit編集部作成。数値はGrgicほか(2018)の論文の要旨から引用)
ただし、2018年の分析に入った研究の多くは、筋トレの経験がない人が対象でした。すでに鍛えている人が回数を大きく増やしたら、結果は違うのでしょうか。
鍛えている人が週6回にしたら?
2019年の研究は、筋トレの経験がある男性27人を、週3回のグループ(14人)と週6回のグループ(13人)に分けました。1週間の合計の量は同じにそろえ、指導者のもとで6週間続けています。
6週間での変化は次のとおりです。
- 上半身の1RM(1回だけ挙げられる最大の重さ):週3回で4%、週6回で6%増えた
- 下半身の1RM:週3回で22%、週6回で18%増えた
- 太ももの前側の筋肉の厚さ(表面と奥の2か所):どちらのグループも5〜11%増えた
どの項目でも、2つのグループの差は統計的な差ではありませんでした。腕の前側の筋肉だけは、週3回のグループでのみはっきり厚くなっています(7%)。著者らは、合計の量が同じなら、週3回でも週6回でも筋力と筋肉の伸びは同じくらいになりそうだとしています。

週3回と週6回で、合計の量をそろえて比べた研究(Logrit編集部作成。数値はSaricほか(2019)の論文の要旨から引用)
では反対に、忙しくて回数を減らさざるをえないときはどうでしょう。せっかくつけた筋肉は、すぐに落ちてしまうのでしょうか。
回数を減らすと、筋肉は落ちる?
2011年の研究では、20〜35歳と60〜75歳の成人70人が、まず週3回の筋トレを16週間続けました。そのあとの32週間は、筋トレをやめるグループと、量を3分の1または9分の1に減らして続けるグループに分かれています。
若いグループでは、量を減らして続けた2つのグループとも、増えた筋肉を保てていました。一方、60〜75歳のグループでは、同じ減らし方では筋肉の大きさを保てませんでした。
2021年の総説は、こうした研究を整理しています。若い人では、重さを落とさなければ、週1回・1種目1セットの筋トレでも、筋力と筋肉の大きさを最大32週間保てたと報告しています。高齢の人では、筋肉の大きさを保つのに週2回・1種目2〜3セットほどが必要かもしれないとしています。

回数を減らして筋トレを続けた研究(Logrit編集部作成。Bickelほか(2011)、Spieringほか(2021)の論文の要旨から)
意外な点:差を生んでいたのは、回数より合計の量だった
回数を増やすほど伸びる、という結果だけを見ると「毎日やったほうがいい」と考えたくなります。けれども、2018年と2019年の分析では、合計の量をそろえると回数による差は見られませんでした。回数が多いほうが伸びて見えたのは、回数が増えた分だけ、1週間にこなす量も増えていたからだと考えられます。
2016年の分析と2019年の分析で、言えることが変わった点も見逃せません。研究が10本のときは「週2回のほうがよい」とされ、25本に増えると「合計の量が同じなら差はない」となりました。研究が増えると、結論が変わることもあるのです。
もうひとつ読み違えやすいのが、「差がなかった」の意味です。これは、どの回数でも筋肉や筋力が伸びたうえで、伸び方に統計的な差が見つからなかったという意味です。どの回数でもまったく同じだと確かめられたわけではありません。
この研究から言えないこと
ここで紹介した研究には、次のような限界があります。
- 多くの研究は若い成人が対象で、筋トレの経験がない人が多い。筋力の分析の著者らも、鍛えている人の研究がもっと必要だとしている
- 週6回を試した研究は、鍛えている男性27人を6週間調べたもの。女性や、もっと長い期間に同じ結果が当てはまるかはわからない
- 研究では合計の量をそろえているが、実際に回数を増やしたときに、疲れなどで1回あたりの質が保てるかは調べていない
- けがのしやすさや、関節の痛みが回数でどう変わるかは、ここで紹介した研究では比べていない
- 回数を減らして保てた研究は、重さを落とさないことが条件。重さも量も減らしたときに同じになるかはわからない
- 高齢の人は、若い人と同じ減らし方では筋肉を保てなかった。年齢によって必要な量は変わる
Logritの結論
いまある研究からは、1週間の合計の量が同じなら、週1〜6回のどれに分けても筋肉や筋力の伸びに大きな差はないと考えられます。回数を増やして伸びるのは、主に合計の量が増えるからだと考えられます。健康のための目安としては、WHOが週2日以上を勧めています。回数にこだわるより、続けられる回数で1週間の量を確保するほうが、研究の結果に合っています。
今日から試せること
最初に確かめてほしい条件があります。次にあてはまる人は、回数や量を増やす前に医師に相談してください。
- 持病のある人、病気の治療中の人
- 関節や腰などに痛みがある人
- 運動中に胸の痛み・息苦しさ・めまいが出たことがある人
そのうえで、次の順で考えてみてください。
- まず、無理なく続けられる回数を決める。研究では、週1回でも週6回でも筋肉と筋力は伸びていた
- 回数より先に、1週間の合計の量(種目ごとのセット数)を書き出してみる
- 1回が長くなりすぎてつらいときは、同じ量を2〜3回に分ける
- 回数を増やすときは、1週間の合計の量がどれだけ変わるかを先に確かめる
- 忙しい時期は、重さを落とさずに、回数とセット数を減らして続ける
- 高齢の人は、忙しい時期でも週2回ほどは続けることを考える。2021年の総説は、高齢の人が筋肉の大きさを保つには週2回ほど必要かもしれないとしている
参考文献
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※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の助言ではありません。診断や治療の代わりにはなりません。持病のある人や治療中の人、運動中に胸の痛み・息苦しさ・めまいなどが出る人は、医師に相談してください。