「朝ごはんを食べないと太る」と聞いたことはありませんか。摂取カロリーを減らすために、朝食を抜こうと考える人もいるでしょう。
先に結論です。成人では、朝食を抜くこと自体が短期的な体重増加を招くとは確認されていません。 朝食を食べれば、自動的に痩せるともいえません。
普段の生活を追った研究では、朝食を抜く人ほど肥満が多い傾向があります。とはいえ、朝食を抜いたことが原因とは限りません。
朝食を抜くと本当に太る?

成人の短期試験では、朝食を抜くだけで太るとは確認されていません。むしろ、抜いた人の体重がわずかに低かった分析もあります。
参加者を偶然に「朝食あり」と「朝食なし」に分けると、原因に近い形で比べられます。これを無作為比較試験(ランダム化比較試験)といいます。
研究全体を見ると、結果は一つにそろっていません。7試験486人の分析では、約7週間後の体重が朝食群で平均0.44kg高くなりました。ただ、すべての試験に結果が偏るおそれや、不明な点がありました。
別の7試験425人では、約8.6週間後の体重変化が欠食群で平均0.54kg低い結果でした。8週間以上の試験だけに絞ると、差はほぼ消えています。
さらに、12の比較に参加した487人では、体重差は0.17kgで、明確な差とはいえませんでした。身長に対する体重の目安(BMI)、体脂肪率、腹囲にも、はっきりした差はありませんでした。
どの分析でも、平均差は1kg未満です。朝食の有無だけで明確に痩せるとは判断できません。
なぜ「朝食を抜く人ほど太る」と言われる?

朝食以外の生活習慣が関係している可能性があります。普段の生活を変えずに追う研究(観察研究)では、朝食を抜く人ほど肥満が多い傾向があります。
成人を長く追った2研究では、週3日以上朝食を抜く人は、将来の過体重・肥満リスクが11%高い結果でした。ただし、BMIの変化量には明確な差がありませんでした。
45件の観察研究でも、朝食の回数が少ない人ほど過体重や肥満が多い傾向が見られました。このうち36件は、ある一時点だけを比べた研究(横断研究)です。
この方法では、朝食を抜いた後に太ったのか、体重を気にして抜いたのかを区別しにくくなります。睡眠や運動、喫煙、食事内容などの違いも影響しているかもしれません。
公的な評価でも、成人の朝食欠食と体重・肥満をめぐる証拠は限定的とされています。「一緒に起きていること」と「原因であること」は別です。
抜いた分は昼や夜に食べすぎる?

朝食を抜いても、必ず後で朝食分以上を食べるわけではありません。平均では、昼食や夕食で完全に補わなかった試験もあります。
10試験930人の分析では、朝食群の1日の摂取量が欠食群より平均約260kcal多くなりました。毎日続けば無視しにくい差ですが、試験ごとのばらつきは大きめでした。
試験には、結果が偏るおそれや判断できない点もあります。平均260kcalという数字が、全員に当てはまるわけではありません。
小規模な試験では、朝食群で摂取量と身体活動による消費量がともに増えました。食べる量と一緒に、活動量も変わる可能性があります。
反応には個人差があります。間食や夕食が増える人もいれば、1日の摂取量が減る人もいます。
朝食を食べると代謝が上がる?
朝食を食べるだけで、休んでいる間のエネルギー消費が大きく増えるとは確認されていません。抜くと代謝が落ちて太る、という単純な仕組みでもありません。
休んでいる間に体が使うエネルギーを、安静時代謝量といいます。比較的やせた成人33人の試験では、朝食による安静時代謝量の上昇は見られませんでした。
肥満のある成人23人でも、朝食で安静時代謝が大きく上がる結果は出ていません。いずれも6週間の小規模な試験です。
また、朝食群には午前11時までに700kcal以上を取る条件がありました。量の多い朝食なので、普段の朝食にも同じ結果が出るとは限りません。
朝食後に活動量が増える可能性はあります。それが長期的な減量につながるかは、まだ分かっていません。
いつもの朝食習慣で結果は変わる?
普段の習慣によって反応が変わる可能性はあります。とはいえ、誰にでも当てはまるルールはまだありません。
過体重・肥満の成人309人を分けた試験では、食べる群、抜く群、一般的な健康情報だけを受ける群で、減量差はありませんでした。もともとの朝食習慣による明確な違いも確認されていません。
同じカロリーの減量食を使った女性52人の試験では、普段の朝食習慣を大きく変えた人ほど減量した可能性が示されました。小規模で古い試験なので、慎重に見る必要があります。
食べるか抜くかより、決めた方法を続けられたことが影響した可能性もあります。個人差を考える手がかりにはなりますが、確立した方法ではありません。
体重管理では朝食より何を優先する?
まずは、1日全体の食べ方を確認します。食事の量や時間、内容、活動量まで含めて考えるほうが現実的です。
朝食を加えても、昼食や夕食が減らなければ、1日の摂取量は増えます。反対に、抜いた後で間食や夜食が増えると、期待したほど摂取量は減りません。
食事時間を調べた29試験2485人では、早い時間に多く食べると、体重減少がわずかに大きくなる可能性が示されました。ただし、結果の確実性は非常に低いとされています。朝食の有無だけを調べた分析でもありません。
朝食を食べるかどうかと、何を食べるかも別の問題です。試験では朝食の内容がそろっていません。そのため、特定の朝食なら痩せるとは判断できません。
減量のためなら朝食を抜いてもいい?

すべての成人に朝食抜きを勧める根拠はありません。減量のために全員へ朝食を勧める根拠も不十分です。
11件の研究を統合した分析では、欠食群の体重が平均0.66kg低い反面、LDLコレステロールは平均9.89mg/dL高くなりました。LDLコレステロールは、血液中の脂質の一つです。
体重差は1kg未満で、健康全体への影響はまだ分かりません。少数の短期試験が中心で、心筋梗塞などが増えると直接示した結果でもありません。
減量中も、体重だけで良し悪しを決めないようにしましょう。空腹の強さ、その後の食事、検査値、続けやすさも判断材料になります。
今日から試せること
体重のためだけに、今の習慣を急に変える必要はありません。まず、1日全体の食べ方がどう変わるかを確かめます。
- 朝食を食べて調子がよいなら、無理に抜く必要はありません。
- 朝に食欲がないなら、太ることを心配して無理に追加しません。
- 抜いた日は、間食や夕食が増えていないか振り返ります。
- 追加した日は、1日の食事量が増えていないか確認します。
- 習慣を変えるなら、一度に多くを変えないようにします。
- 体重の傾向とともに、空腹や続けやすさも確認します。
- 持病や服薬がある場合は、医師や管理栄養士に相談します。
研究からもまだ分からないこと
数年単位で食べる場合と抜く場合のどちらがよいかは、まだ分かりません。試験の多くが短く、朝食の定義や内容もそろっていないためです。
統合された試験の期間は、6日から12週間でした。16週間の減量試験もありますが、数年後の体重や健康状態までは追っていません。
「はっきりした差がない」は、効果が完全にゼロという意味ではありません。長期的な小さな影響や、一部の人だけに起こる影響は否定できません。
この記事の結論は、主に成人の研究に基づいています。子どもや妊婦、高齢者、糖尿病の治療中の人に、そのまま当てはまるとは限りません。
摂食障害の経験がある人や、低栄養のおそれがある人も注意が必要です。食事回数を変える前に、医師や管理栄養士へ相談してください。
単に朝食を抜くことと、食事時間や総摂取量まで管理する方法は別です。医療的に管理された時間制限食と同じものではありません。
結局、朝食はどうする?
成人では、体重のためだけに朝食を食べたり、抜いたりする必要はありません。1日全体の食べ方と続けやすさで判断します。
欠食群がわずかに軽かった短期試験もありますが、平均差は1kg未満です。研究によって結果も異なります。
食べれば自動的に痩せる、代謝が大きく上がるといった根拠も不十分です。長期的な健康への影響は、まだ分かっていません。
朝食だけを正解・不正解に分ける必要はありません。食事量や内容、間食、夜食、活動量まで見て、自分に合う形を選びましょう。
免責事項:本記事は一般的な健康情報であり、診断や治療の代わりではありません。糖尿病治療薬を使用している人、妊娠中の人、摂食障害歴や低栄養リスクがある人は、食事回数を変える前に医師や管理栄養士へ相談してください。
本文の根拠になった主な資料は以下のとおりです。PMIDとDOIは、利用できるものを記載しています。
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